前回、「木工手道具の基礎と実戦」という本を紹介しました。
この本には、木工による作品作りに役立つ治具や定規の作り方について、丁寧な解説が載せられています。
今回はその中の一つ、鑿作業台を作ってみました。
鑿作業台
これが完成した鑿作業台です。
裏はこのようになっています。
材料は、本書に記載されている内容とほぼ同じですが、寸法を少し大きめにしました。
台板: 長さ400 x 幅300 x 厚さ30mm タモ2枚矧
当て止め: 長さ130mm x 幅25 x 厚さ20mm タモ2本、 長さ300mm x 幅25 x 厚さ20mm タモ1本
材料はいずれも、「マルトクショップ」さんという木材通販のウェブサイトに注文して取り寄せました。
「幅100mm以上の場合には幅はぎになる可能性もあります。」とサイトに記載されているとおりで、こちらに届いたものも板目2枚矧になっていました。
表面は仕上げてありますが、無垢材なので当然ながら反りが少しでていましたので、鉋で少し削って修正します。(人に見せられるような腕ではないので、画像は省略。。。)
修正したあと、全体を鉋で仕上げ削りをすると、木目がとてもきれいな表面になりました。(ただ、このタモという木は独特な匂いがしますね。)
鉋は芳楽作の黒龍(寸六)を使用しました。素人ですので、完全な平面を出すことなどは無理ですし、けちりんを取るための調整を行う力もありませんので、指で触ってもわかるような小さな段差は残ります。しかし、作業台として使う分には十分でした。
表面が仕上がったら、当て木を取り付けます。
あて木は、一方の面に取り付けるものを留めに削ります。
わかりにくいですが、写真の鉋の左が加工中の当て木、鉋は包春の豆平鉋(36mm、1枚鉋)です。
もう一方の面に取り付けるものは、切らずに台板の幅一杯の長さで取り付けます。
いずれの当て木も、木工用ボンドで当て木を台板に接着し、ボンドが乾いたら、半ネジタイプのビスで固定します。このあたりの作業工程は本に記載されている通りです。
これで完成です。
作ってみてわかること
やはり、台板の平面出しは素人にとっては難しいですね。今回は、あまり反りがない状態のものが届いたので、修正も少しで済み、あとは表面全体の仕上げで終わりましたが、もっと反りがあったら手に負えないところです。
平面を出す電動工具など手元にありませんし、難しい作業になります。
私は手道具に大きな魅力を感じていて、積極的に使うようにしていますが、特に鉋は奥が深くて取り組み甲斐のある道具です。鉋台や刃の仕込みに始まり、仕込んだ後に実際に使うときにも刃の出し具合、裏金の調整、力の入れ加減で仕上がりが大きく変わります。まだまだ実力不足です。
活用方法
この台は、鑿の作業を安定して行うために使用する台として紹介されています。
この台には、手前に作業台(作業を行うテーブル)への当て止め、また奥には鑿作業台上で鑿の作業を行うとき、奥方向にフェンスとなる当て止めを配置しています。
したがって、基本的には「押して削る」作業に非常に向いています。
鉋台の調整の他、材料を追入れのみで突いて削る作業を行うときに重宝します。
おわりに
この鑿作業台は、この本で紹介されている他の治具と比べて、それほど高い精度が必要ではなく、最初に取り組む対象としては好適だと思いました。
台板の厚さが30mmありますので、それなりに重さもあり、作業台として使うときに安定し鑿ていて使いやすいです。何より自作の治具というのは、丁寧に仕上げると愛着もわきますし、大事に使っていこうと思います。
次回は木口削り台を作ってみようと思います。
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